コース要綱

:(9300100)外国人と法


[講義基本情報]

教員: 小畑 郁
その他の教員:
科目種別: 展開先端
開講時期: 春学期
対象年次: 3年(2年コース2年)
開講時限: 火1
単位数: 2
必修の有無: 選択
教室: 911

 

講義概要 (1)現代日本における外国人に対する法政策は、第2次世界大戦後の東アジアの国際状況を背景に形成されてきたものであるが、近年グローバル化と日本社会の少子高齢化の影響を受けて変容を遂げつつある。この状況を把握し、対応を考えることは、これからの法律家にとって極めて重要な課題である。
(2)主として公法・国際法の法的基礎知識を前提に、それが外国人の分野にどのように適用されてきたかを考察する。
(3)とくに入管難民法の分野において、具体的問題を取り上げながら、その法的構造について考える。 
到達目標 (1)日本における外国人の状況は、法の眼でみるとどのように見ることができるのか、その全体的動向を把握し、背景を理解する。
(2)入管法をめぐる主要問題について、実務的側面を含む基礎的知識を修得し、入管法の構造について問題意識をもつ。
(3)入管法を変動させる重要な要因となっている国際法的規制について、それらの内容と性格、日本法における適用状況についての基礎知識を修得する。
(4)外国人法政策をめぐる最近の議論とその背景について基礎知識をもち、今後の変動に対応できる問題意識をもつ。
(5)入管難民法についての調査について基礎を修得する。
教科書 ・『ベーシック条約集』2017年版または2016年版(東信堂)
 ※講義に携帯してくること。

参考書・参考資料 ・山田鐐一・黒木忠正『よく分かる入管法〔第3版〕』(有斐閣、2013年)
・薬師寺公夫ほか『法科大学院ケースブック国際人権法』(日本評論社、2006年)
・「日本の国際法判例」研究会(第2期)「解説・日本の国際法判例(1)~(11)」国際法外交雑誌106巻1号、4号、107巻4号、108巻4号、109巻4号、110巻3号、112巻3号、4号、113巻4号、114巻4号、115巻4号
・松井芳郎ほか編『国際人権条約・宣言集〔第3版〕』(東信堂、2005年)
その他、適宜指示する。
成績評価方法 講義での受け応え、1度設ける予定のプレゼン・セッションにおける報告と質問への回答など平常点50%
最終レポート50%

履修条件 法科大学院「国際法Ⅱ」ないしそれに相当する法学部科目を履修済みであることが望ましい。
その他の注意 2011年度の講義のサンプル(レジュメ等を含む)が下のリンクで閲覧できます。http://ocw.nagoya-u.jp/index.php?lang=ja&mode=c&id=302&page_type=index

 

1 4月11日
オリエンテーション、日本の外国人、在留管理の仕組みと特徴
講義全般についてオリエンテーションを行う。
外国人の在留資格について、ごく基礎的な知識を修得する。
在留資格別外国人統計を見て、日本の外国人の動向についてその概要を把握し、その背景を考える。
在留管理の仕組みの基礎を理解する
入管法(出入国管理・難民認定法)のテキストを参照し、関連条文および別表の在留資格に対応する活動・身分を調べておく。
資料にある外国人統計を見て、予備的検討を加えておく。
入管法2条の2の意義を考えておく。新たに導入された中長期外国人の在留管理制度(在留カードと住民票)について外国人登録制度と比較しておく。退去強制手続の流れを条文により確認しておく。
2 4月18日
在日コリアンの歴史と法(その1)


在日コリアン・コミュニティーの生成と展開について基礎的知識を得る。日本在留の根拠がどのように変遷してきたかについて基礎的知識を得る。 在日コリアンについての年表を参照し、歴史的経緯について疑問点を整理しておく。
3 4月25日
在日コリアンの歴史と法(その2)
特別永住制度の概要を理解する。在日コリアンの法的地位について、どのような問題があるかを理解し、議論できるようになる。 特別永住制度について、レ法文を参照し、その内容を確認しておく。
4 5月2日
国籍の意義と日本の国籍法
日本の法学においては、極めて抽象的で単一の概念と考えられている「国籍」の概念について、より徹底して考える。日本の国籍法の基礎的な考え方を、比較法的考察を踏まえて、解説し、今後の国籍法のあり方について考える。 「国籍」がどういう機能を実際に果たしているか、そのような機能を国籍が果たすことに、どういう根拠があるか考える。国籍留保制度が両系血統主義とセットで導入されたのはなぜか考えてみる。
5 5月9日
難民の国際法と日本法(その1)
難民の国際法について基本的知識を修得する。難民現象とはどのようなものであり、どうして国際的対応が必要とされたのか、ということについて知識を修得し、そこから現代の難民法についてその問題点を議論できるようになる。 難民条約が難民に何を保障し、何を保障していないか、条約のテキストを確認する。難民条約上の難民の定義について条文テキストを確認しておく。
6 5月16日
難民の国際法と日本法(その2)

難民に関する日本法について、基本的知識を修得する。判例による難民の概念の問題点を理解する。難民認定手続および申請中・申請後の難民の地位について基本的知識を修得する。日本の難民法の問題点について、議論できるようになる。 レジュメに即して、難民にかかわる入管法の規定を確認しておく。仮滞在許可についての東京地判2009・3・27に目を通しておく。
7 5月23日
ノン・ルフールマン原則とその実施
ノン・ルフールマン原則(意訳すれば人権侵害の防止のための追放・送還禁止の原則)の規範の多様な存在形態について理解する。同原則をめぐる主な問題点について基礎的知識を修得する。同原則の日本法における実施状況について、問題状況を把握する。 レジュメに即して、条約の各条文を確認しておく。ゼーリング事件、キンドラー事件について資料を読んでおく。入管法53条3項を検討しておく。
8

5月30日

国際人権法による在留保障(1)


 

マクリーン判決の法理を再確認する。「自国」に戻る権利という概念によって、一定の範囲の外国人の在留が保障されることを理解する。「自国」の範囲をめぐる国際判例・実行と国内判例の立場を理解する。私生活・家族生活の尊重を受ける権利と外国人の在留保障についての国際判例の動向を理解する。 崔善愛事件・福岡高判1994・5・13の概要を確認しておく。レジュメに挙げられた条約の条文を確認しておく。
9

6月6日

国際人権法による在留保障(2)

(家族)生活の尊重の要請から導かれる在留保障についての国内判例の動向、および関連する在留特別許可の実行について、基礎知識を修得する。退去強制手続を統制する国際人権法基準を理解し、日本の手続について問題意識をもつ。

 

東京地判2008・1・17(カルデロン事件)、福岡高判2005・3・7および東京地判2007・8・28を検討しておく。関連条約規定を確認しておく。在留特別許可に関する資料に目を通しておく。
名古屋地判2010.12.9の概要を確認しておく。
10

6月13日


 

受講生(グループ)からの報告6本を受けて、議論する。報告の作成については、あらかじめ相談をうける
11

6月20日
 在留中の活動についての制約と憲法(担当:愛敬浩二)

 

在留中の外国人の活動に対する様々な制約の可否を憲法理論のレベルで検討する。
具体的には、「外国人の人権保障は在留制度の枠内で与えられているに過ぎない」(マクリーン事件最高裁判決)という考え方は、外国人の「法律上の権利」を論じているのであって、「基本的人権=憲法上の権利」を論じているのではないとする問題提起を検討する。


昨年度の「憲法演習」で取り上げた判例の知識を確認しておくこと。
 また、「お知らせ」欄を読んでおくこと。

12

6月27日
 

入管・難民認定と行政訴訟(担当:下山憲治)

ここでの行政訴訟は、行政事件訴訟にかぎらず、比較的広くとらえることにする。入管・難民認定について、外国人に関する行政手続・行政不服審査制度との関係を確認したのち、行政訴訟について検討を加える。行政事件訴訟では、とりわけ、訴訟選択(抗告訴訟と当事者訴訟等)、裁量の存否や裁量処分に関する違法評価のほか、証明論等について検討を加える。また、国家賠償請求に関する相互保証についても簡単に検討を加える。


外国人の権利保障・法治主義と、行政上の手続・不服申立制度~行政事件訴訟および国家賠償制度に到るまでの関係について注意しておく。法令でだけではなく、行政法教科書類の関係項目も目を通しておく。
13 7月4日
外国人に対する刑事手続の諸問題(担当:小島淳) 
 外国人が被疑者・被告人、証人等として刑事手続に関与する
場合における刑事訴訟法(及び関連する法令)上の
(代表的な)問題点につき―いくつかの裁判例も素材として―
検討する。

主に検討するのは、以下の点とする。

●捜査段階
○令状提示の際の翻訳文添付・通訳人同行の要否
【平野=松尾編・新実例刑事訴訟法Ⅰ
〔上野友慈〕106(青林書院、1998)参照】

●公訴・公判段階
○起訴状謄本送達の際の翻訳文添付の要否
【東京高判平2・11・29高刑集43・3・202
(刑訴法判例百選〔第8版〕[新屋達之]94
以下も参照。なお、時間があれば
新実例刑訴Ⅱ〔矢村宏〕87以下にも
目を通しておくとよい)】

○法廷通訳の正確性・公正性
【大阪高判平3・11・19判時1436・143
(刑訴法判例百選〔第8版〕[角田正紀]124
以下も参照。なお、時間があれば、
新実例刑訴Ⅱ〔杉田宗久〕266以下も一読
しておくとよい。もっとも、後者はやや
長いので、今回の講義との関係では、異議
に対する裁判所・裁判長の対処方法等の
技術的な点に関する論述部分については
飛ばしてよいものとし、問題の所在及び
基本的な考え方を押さえておく程度でよい
ものとする)】

○強制退去となる可能性がある者に対する保釈決定の適否
【新実例刑訴Ⅱ〔大島隆明〕164以下、増補
令状基本問題(下)〔三好幹夫〕37以下
など参照】

○強制退去対象者の供述を録取した書面の証拠能力
(及び強制退去となる可能性のある者からの供述獲得手段)
【最判平7・6・20刑集49・6・741。刑訴法
判例百選〔第9版〕[上冨敏伸]178以下等も
参照】


1.外国人が刑事手続に関与する際に、どの手続段階において、どういうことが問題となりうるかを考えておくこと。

2.出入国管理及び難民認定法の退去強制手続に関する条文(主に第5章)及び刑事手続に関係する条文(特に、63~65条)について目を通しておくこと。

なお、刑事訴訟法の講義や教科書等では(詳しく)触れられていない点も検討の対象となるため、予習に際しては、まず、

●田中康郎「刑事手続における外国人」刑事訴訟法の争点〔第3版〕38(2002)

で問題の概要を確認した上で、「講義内容」で掲げた個別の問題点に関する裁判例及び文献について(長文のものについては時間の許す限りで)目を通すようにするとよいであろう。
14

7月11日

入管法をめぐる弁護士実務(担当:宮崎真)
 

資料欄にアップしたレジュメに沿って講義する。
 次の判例を取り上げる。
  国籍と認知         最高裁平成20年6月4日
  親子関係不存在とDNA鑑定 最高裁平成26年7月17日
  認知の無効         最高裁平成26年1月14日
 国籍、認知、婚姻等に関連する諸問題や在留特別許可を含めた在留資格制度が外国人の生活に及ぼす影響を、実務面から考えてみる。
レジュメに取り上げている前記各判例、国籍法2条①及び3条に関連する事項、民法の嫡出子、認知に関連する事項に目を通しておいて下さい。
15

7月18日

日本の外国人政策の動向

表、データを読みながら、1990年以降の外国人(労働者)受入れ政策について基礎知識を習得する。該当する行政機関の基本的な考え方を把握し、政策の動き・効果、そしていくつかの問題点を明らかすることがこの授業の目的である。具体的には、入国管理の「1990制度」、『第5次出入国管理基本計画(案)』入管法の2009年改正に見直された技能実習制度などに諸点を当てる。 PPTプレゼンテーションを行う予定。資料にあたる『平成26年末における在留外国人数について』と『第5次出入国管理基本計画(概要)』を事前に目を通しておくこと。
16 最終レポート提出

 

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https://canvas.law.nagoya-u.ac.jp/enroll/RYYML8

Assignments Summary:

日付 詳細