コース要綱

:(9300098)国際私法Ⅱ

[講義基本情報]

教員: 横溝 大
その他の教員:
科目種別: 展開先端
開講時期: 春学期
対象年次: 3年(2年コース2年)
開講時限: 木2
単位数: 2
必修の有無: 選択
教室:

 

講義概要  経済のボーダーレス化に従い私人の国際的活動は増加の一途を辿り、それに伴い私人間の(或いは私人と国家間の)国際的法律関係に関する問題も多様化且つ複雑化しつつある。海外での交通事故、国際的な自動車の盗難、独占禁止法や通信法の域外適用また各国法規の抵触、国有化・収用措置や資産凍結措置の国際取引への介入、多国籍企業の複数国での大型倒産、アメリカ懲罰的損害賠償判決の我が国での執行の可否等、そういった問題の例としては枚挙に暇がない。また、このような財産関係事件に限らず、身分関係事件においても、離婚の国際裁判管轄、子供の引渡を命じた外国判決の我が国での執行の可否等、国際的紛争事例は夥しい。
このような複雑な国際的法律関係を規律する法律が抵触法(広義の国際私法)である。本講義では、このうち外国法適用制度(準拠法選択規則)の各論につき、その基本的知識を提供し、また、重要裁判例を中心に、判決の意義や位置付け、またその問題点等について議論する。
 最初に、毎回出される課題(各テーマの応用的な下級審裁判例)を基に前回の復習を行った後、当日のテーマについて基本事項の確認的説明を行った上で、判決についての議論に入る。受講者には、主要参考文献等により毎回のテーマについて予習を行い、テーマとなる裁判例及び指定された評釈を読んで来ること、また、毎回出される課題について考えて来ることが要求される。 
到達目標 (1)外国法適用制度(準拠法選択規則)の各論についての基礎的知識を習得すること。
(2)外国法適用制度(準拠法選択規則)に関する裁判例・学説につき、十分に理解し、また問題点を批判することが出来るようになること。
(3)今後生じ得る国際民事紛争に関し、抵触法上どのような点が問題となるか、また、どのような結論が導かれるかを考えることが出来るようになること。

教科書 扱う裁判例は、基本的には道垣内正人=櫻田嘉章編『ロースクール国際私法・国際民事手続法〔第3版〕』(有斐閣・2012年)に掲載されている。但し、判決全文を読んで来ることが望ましい。
参考書・参考資料 ・中西康=北澤安紀=林貴美=横溝大『国際私法(Legal Quest)』(有斐閣・2014年)
・櫻田嘉章=道垣内正人編『国際私法判例百選[第2版]』(有斐閣・2012年)
・神前禎=早川吉尚=元永和彦『国際私法〔第3版〕』(有斐閣アルマ・2012年)
・澤木敬郎=道垣内正人『国際私法入門(第7版)』(有斐閣・2012年)
・道垣内正人『ポイント国際私法総論 第2版』及び『各論 第2版』(有斐閣・2007年,2014年)
・石黒一憲『国際私法 第2版』(新世社・2007年)
・横山潤『国際私法』(三省堂・2012年)
・櫻田嘉章=道垣内正人編『注釈国際私法(1)(2)』(有斐閣・2011年)
・『法の適用に関する通則法関係資料と解説』(2006年・別冊NBL110号)
・小出邦夫編著『逐条解説・法の適用に関する通則法』(商事法務・2009年)
・小出邦夫『一問一答新しい国際私法 法の適用に関する通則法の解説』(商事法務・2006年)
・神前禎『解説 法の適用に関する通則法』(弘文堂・2006年)
その他の文献はレジュメ等で指示する。
その他の参考資料はレジュメ等で指示する。
成績評価方法 平常点及び期末試験による(平常点20点、期末試験80点)。平常点では、授業中の発言に見られる到達目標(1)及び(2)の点の理解の程度により評価する。尚、理由なく欠席した場合には減点する。期末試験においては、(1)及び(2)の点は固より、(3)についても評価するため、授業で採り上げなかった応用的事例や論点についても批判的に論評する力が試される。
履修条件 国際民事紛争の全体像を把握するためには、国際私法Iを履修していることが望ましい。
その他の注意

 

1 婚姻
(4月6日)
婚姻の成立及び効力に関する通則法の基本的枠組を説明した上で、東京高判平成19年4月25日を中心に、幾つかの具体的問題について議論する。

・東京高判平成19年4月25日家月59巻10号42頁
・東京家判平成18年19月5日家月59巻10号49頁
・佐野寛・国際私法判例百選116頁
・黄[じん]霆・戸籍時報 652号30頁
2 離婚
(4月13日)


離婚に伴う親権者指定等に関する神戸家判平成6年2月22日を中心に、幾つかの具体的問題について議論する。 ・神戸家判平成6年2月22日家月47巻4号60頁
・国友明彦・ジュリ1093号136頁
・笠原俊宏・ジュリ別冊 185号114頁(国際私法判例百選 新法対応補正版)

3 実親子関係(4月20日) 親子関係に関する28条から37条の基本的枠組とその問題点について確認した上で、嫡出否認に関する水戸家審平成10年1月12日を中心に、幾つかの具体的論点について議論する。 ・水戸家審平成10年1月12日家月50巻7号100頁
・岡野祐子・国際私法判例百選134頁
・多田望・民商 123巻1号140頁
4 養親子関係
(4月27日)

養親子関係の準拠法につき、水戸家審平成11年2月15日家月51巻7号92頁及び

山形家審平成7年3月2日家月48巻3号66頁

を中心に議論する。

・斎藤彰・国際私法判例百選146頁

・植松真生平成11年度重判解308頁

・出口耕自・ジュリ臨増 1113278頁(平8重判解) 

・中野俊一郎・民商 1161144

5 相続
(5月11日)
損害賠償債務の相続や相続財産の管理についての準拠法等、相続に関する幾つかの具体的論点について議論する。 ・大村芳昭・国際私法判例百選147頁
・出口耕自・国際私法判例百選150頁
6 自然人・法人
(5月18日)
自然人に関する通則法4条~6条、及び法人の従属法に関する設立準拠法主義と本拠地法主義との対立を確認した上で、最判昭和50年7月15日を題材に、法人従属法における連結政策とルールの適用範囲について議論する。 ・LS国際私法Unit13
・最判昭和50年7月15日民集29巻6号1061頁
・柴田保幸・最高裁判所判例解説民事篇昭和50年度336頁
・櫻田嘉章・民商法雑誌78巻6号843頁


7 契約(1)
(5月25日)
当事者自治の原則の根拠、通則法における基本的規定を確認した上で、特徴的給付の理論につき、東京地判平成28・2・25(平27(ワ)21195号)2016WLJPCA02258018を中心に議論する。 [参考]
・北澤安紀「国際契約の準拠法」須網=道垣内編『国際ビジネスと法』(2009年)119頁
8 契約(2)
(6月1日)
通則法において新設された消費者契約・労働契約に関する特則の内容、趣旨、問題点を確認した上で、東京地判平成28・5・20(平成25年(ワ)第28812号)LEX/DB2554305について議論する。。

・山川隆一・国際私法判例百選66頁
[参考]
・西谷裕子・国際私法年報9号29頁
9 不法行為等
(6月8日)
不法行為等に関するこれまでの議論と通則法の新たな枠組につき確認した上で、東京地判平成22年12月27日を題材に議論する。 ・東京地判平成22年12月27日2010WLJPCA12278006
[参考]
・中西康・国際私法年報9号68頁

10 債権譲渡等・物権
(6月15日)


債権譲渡に関する通則法23条がどのように成立したのか、その成立の経緯を確認する。また、物権に関する通則法13条の趣旨を確認し、常時移動する物についてどのように考えるべきか、最判平成14年10月29日を中心に議論する。 ・LS国際私法Unit18
・最判平成14年10月29日民集56巻8号1964頁
・尾島明・最高裁判所判例解説民事篇平成14年度907頁
・神前禎・国際私法判例百選54頁
11 知的財産権
(6月22日)
パリ条約・ベルヌ条約・TRIPs協定を中心とした国際的枠組とその前提となる属地主義の原則を確認した上で、外国特許権に基づく請求に関する最判平成14年9月26日を中心に、あるべき処理枠組について議論する。 ・LS国際私法Unit19
・民集56巻7号1551頁
・高部眞規子・最高裁判所判例解説民事篇平成14年度687頁
・渡辺惺之・私法判例リマークス(法律時報別冊)28号154頁
12 統一法と抵触法
(6月29日)
国際取引において用いられている様々な統一法型条約のうち代表的なものを確認しつつ、ワルソー条約を巡る議論を題材に、条約と準拠法選択規則のあるべき関係について議論する。 ・LS国際私法Unit33
・高桑昭「国際私法と統一私法」国際私法の争点(新版)15頁
・石黒一憲『現代国際私法上』40頁以下
[参考]
・石黒一憲「統一法による国際私法の排除とその限界」海法会誌53巻3頁
13 国際売買
(7月6日)


国際売買の基本的枠組について確認しつつ、神戸地判昭和37年11月10日や海外の事例を題材に、国際売買を巡る国際民事紛争について考える。 ・LS国際私法Unit34
・神戸地判昭和37年11月10日下民集13巻11号2293頁
・石原全・商法〔総則・商行為〕判例百選[第4版]138頁
・浜田一男・海事判例百選[増補版]194頁
14 国際運送
(7月13日)
船荷証券、国際海上物品運送法、モントリオール条約等、国際運送に関する基本的枠組を確認した上で、準拠法選択の問題につき、東京地判平成13年5月28日を中心に議論する。 ・LS国際私法Unit35
・東京地判平成13年5月28日判タ1093号174頁
・山手正史・国際私法判例百選〔補正版〕62頁
15 国際支払(7月20日) 信用状取引の基本的仕組について確認しつつ、信用状を巡る準拠法選択につき、東京地判平成15年9月26日を中心に議論する。 ・LS国際私法Unit36
・東京地判平成15年9月26日金融法務事情1706号40頁
・森下哲朗・平成16年重要判例解説(ジュリ1291号)292頁
・杉江徹「信用状の準拠法」国際私法の争点(新版)134頁
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Assignments Summary:

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