コース要綱

:(9300035)刑事訴訟法ⅡBクラス

[講義基本情報]

教員: 小島 淳
その他の教員:
科目種別: 法律基本 刑事系
開講時期: 秋学期
対象年次: 2年(2年コース1年)
開講時限: 月1
単位数: 2
必修の有無: 必修
教室: 第2講義室

 

講義概要 まず、刑事訴訟法Ⅰ(刑事訴訟法)において取り扱った範囲以降の範囲(証拠の一部、裁判、救済手続)につき、その基本構造を明らかにし、理論上、実務上の重要問題に検討を及ぼす。
さらに、刑事訴訟法Ⅰ及び本講義の前半部分の学修を通じて刑事手続の基本的な流れと重要な個別の制度・手続の概要・趣旨、それに関わる基本的な解釈・運用上の問題が理解できていることを前提に、本講義の後半部分においては、刑事手続の全体にわたって、より発展的・応用的・現代的な問題を含む設例や裁判例を素材として問題研究(討論形式)を行うことにより、刑事手続の理論的理解を深めるとともに、実践的な問題発見・分析・解決能力の錬成を図る。
なお、本講義は、「法科大学院における共通的な到達目標」(各自習室に置いてある閲覧用ファイル参照)を踏まえつつ、具体的講義内容を設定している。
到達目標 証拠の一部、裁判、救済手続に関する講義においては、刑事訴訟法Ⅰと基本的には同様(下記(a)~(d)参照)の点が到達目標となる。
(a)刑事手続の基本的な流れとそこにおける法曹三者の役割がわかる。
(b)個々の制度・手続とその趣旨、それらを貫く基本原理がわかる。
(c)刑事手続の基本的理解を前提に、具体的事例において、それを用いて問題を分析し解決に導くことができる。
(d)問題発見、分析、解決の過程を説得的に表現し、他者と議論することができる。

もっとも、上記の点は本講義における中間的な到達目標であり、本講義の最終的な到達目標は、上記を踏まえ、さらに以下の点に達することである。
(1)現在の刑事手続が当面する理論上・実務上の重要問題がわかる。
(2)刑事手続の理論的理解をもとに、具体的問題を法的に解析し、解決に導くことができる。
(3)問題発見、分析、解決の過程を、他の考え方にも目配りしつつ、論理的・説得的に表現し、他者と議論することができる。
教科書 特定のものは指定しない。取り扱う裁判例や参考文献をその都度指示する予定。

参考書・参考資料 井上正仁・酒巻匡・大澤裕・川出敏裕・堀江慎司『ケースブック刑事訴訟法〔第4版〕』(有斐閣)


成績評価方法 学期末試験 50%
レポート・小テスト 30%
授業における討論参加・発言内容(出席状況を含む) 20%

学期末試験では、(2)及び(3)(なお、その前提として(c))を中心に、(1)を含めた到達度を総合的に判定する。
レポート・小テストでは、到達目標(1)・(2)(その前提として(a)・(b)・(c))の到達度の確認を主眼としつつ、他の諸点を含めたその時点までの到達度を判定する。
授業における討論参加・発言内容では、毎回の講義に出席していることを前提として、(3)(その前提として(d))の技量に重点を置きつつ、他の諸点の到達度も加味した評価をする。
履修条件 刑事訴訟法Ⅰを履修していること。

その他の注意 出席回数が10回に満たない者は期末試験の受験資格を認めないので、体調管理には十分留意すること。
遅刻は2回で1回の欠席に相当するものとして換算する。

 

1 伝聞証拠(1)


◎伝聞の基礎

●伝聞法則と証人審問権
 【最大決昭25・10・4刑集4・10・1866】

●伝聞と非伝聞
【最二小判昭30・12・9刑集9・13・2699】
【最一小判昭38・10・17刑集17・10・1795
〔白鳥事件〕】

◎伝聞例外(1)

●伝聞書面

○被告人以外の者の供述を内容とする書面(ここでは特に321条1項3号書面)

○被告人の供述を内容とする書面(322条)

●伝聞供述(324条)

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

2

伝聞証拠(2)

共犯者の供述

◎共犯者の供述の取扱い
●共犯者(共同被告人)の法廷供述の獲得方法及びその供述の証拠能力

◎伝聞例外(2)

●321条1項2号書面(検面調書)
○前段書面
【最大判昭27・4・9刑集6・4・584】(証言拒絶)
【最三小判平7・6・20刑集49・6・741】(退去強制)

○後段書面
【最二小決昭58・6・30刑集37・5・592】
(証人尋問後に作成された供述調書)
  ※【東京高判平5・10・21高刑集46・3・271】
     (証人尋問後に作成された供述調書―再喚問前に証人が自殺した場合―)

※刑事免責を付与して得られた供述を録取した嘱託尋問調書

※任意性の調査(325条)、合意書面(327条)の取扱いについては自習に委ねる。

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

3 伝聞証拠(3)



◎伝聞例外(3)

●犯行計画メモ(共謀メモ)の証拠能力
【東京高判昭58・1・27判時1097・146】

●再伝聞
●326条の同意

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

4 伝聞証拠(4)



◎伝聞例外(4)

●321条1項該当書面以外の伝聞書面の取扱い
〇2項書面(簡単に)
〇3項書面
  ・実況見分調書の証拠能力
   【最判昭35・9・8刑集14・11・1437】
  ・犯行再現実況見分調書等の証拠能力
   【最決平17・9・27刑集59・7・753】
〔長沼・井上対談(法教326・78)、調査官解説も参照〕

参考:【最二小判昭36・5・26刑集15・5・893】
(実況見分の立会人の指示説明を記載した部分の取扱い)

◎現場写真の証拠能力
【最二小決昭59・12・21刑集38・12・3071】

※録音テープ・ビデオテープの取扱いについては自習に委ねる。

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

5 伝聞証拠(5)

裁判(1)


◎伝聞例外(5)
●321条1項該当書面以外の伝聞書面の取扱い(続き)

〇3項書面か4項書面か

・燃焼実験報告書(抄本)の証拠能力
【最二小決平20・8・27刑集62・7・2702】
〔調査官解説も参照〕

参考:【最判昭28・10・15刑集7・10・1934】
(鑑定受託者の作成した鑑定書の証拠能力)
【東京高判昭58・7・13高刑集36・2・86】(写しの証拠能力)

●328条により許容される証拠
【最判平18・11・7刑集60・9・561、調査官解説も参照】

◎裁判
●裁判総説(裁判の種類等)

●概括的認定・予備的認定・択一的認定
○訴因における実行行為者の表示と異なる実行行為者の認定
【最三小決平13・4・11刑集55・3・127】
○狭義の択一的認定
【札幌高判昭61・3・24高刑集39・1・8】

※単独犯と共同正犯の間の択一的認定
→「訴因変更の要否」を検討する回に併せて検討する予定

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

6 裁判(2)



◎裁判(続き)
●量刑
○余罪の量刑上の考慮
【最大判昭41・7・13刑集20・6・609】
【最大判昭42・7・5刑集21・6・748】

●裁判の効力

○一事不再理の効力
【最三小判平15・10・7刑集57・9・1002】〔長沼・秋吉対談(法教330・101)も参照

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

7

裁判(3)

救済手続

 

◎裁判(続き)

●裁判の効力(続き)

○形式裁判の拘束力
【最三小決昭56・7・14刑集35・5・497】
【大阪地判昭49・5・2判時745・40(偽装死亡による
公訴棄却決定確定後の再訴追)】
〔百選101事件〔出田解説〕ほか参照〕

※無罪判決の付随的効力(無罪判決後の
(再)勾留の可否)
→基本的には自習に委ねる◎救済手続
(なお、講義の進行の度合によっては、一部を自習に回すこともある)

●上訴
○上訴総説(上訴の利益、不利益変更の
禁止、破棄判決の拘束力等)
○控訴
・控訴審の構造と攻防対象論
【最大決昭46・3・24刑集25・2・293〔新島ミサイル事件〕】
○上告(簡単に)
※抗告については自習に委ねる。

●非常救済手続
○再審
・再審開始事由の存否の判断基準
【最一小決昭50・5・20刑集29・5・177
〔白鳥事件〕】
【最小決昭51・10・12刑集30・9・1673
〔財田川事件〕】

※非常上告については自習に委ねる

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

8 捜査をめぐる諸問題(1)


◎「捜査の端緒」に関する問題点の検討
  〔行政警察活動と捜査の関係については、川出 論文(法教259・73)、 酒巻連載(法教285・286)等参照〕

●自動車検問
【最決昭55・9・22刑集34・5・272】
〔酒巻連載、演習刑事訴訟法〔佐藤〕52ほか参照〕

●所持品検査
→昭和53年判例及びその後の最高裁判例の確認・検討
【最三小判昭和53・6・20刑集32・4・670】
【最三小決平7・5・30刑集49・5・703】
【最一小決平15・5・26刑集57・5・620】
〔大澤・辻対談(法教308・76)も参照〕
1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

9 捜査をめぐる諸問題(2)


◎逮捕・勾留に関する問題点の検討
  〔百選〔第9版〕13・15・19事件(解説含む)、大澤論文(法教245・15)、
池田論文(法教262・91)、酒巻連載(法教291・97~)、
大澤・佐々木対談(法教332・79)など参照〕
なお、
【東京高判平17・11・16東京高等裁判所
(刑事)判決時報56・1~12・85、高等裁判所刑事裁判
速報集(平17)214】も参照
1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

10 捜査をめぐる諸問題(3)



◎捜索・差押えに関する問題点の検討
  〔酒巻連載第9回(法教293・81)~第12回(297・55)のうち、
例題に関連する箇所、新実例刑訴Ⅰ〔山口裕之〕233-237、
同〔津田賛平〕238以下なども参照〕

●コントロールド・デリバリー
〔演習刑事訴訟法[長沼]182、新実例刑訴Ⅰ[井上宏]38、争点〔第三版〕[佐藤]86ほか参照

※関連する範囲で(かつ、時間が許す限りで)
【最決平11・12・16刑集53・9・1327】も検討
〔百選〔第8版〕34事件(椎橋)、調査官解説(池田・飯田)、
酒巻論文(研修658・3)など参照〕

●「将来犯罪」を被疑事実とする(または発付 時点では捜索場所に存在しないことが明らかな物を差押え対象物とする)捜索 差押え令状等の発付

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

11 捜査をめぐる諸問題(4)

◎捜索・差押えに関する問題点の検討(続き)
●嚥下物の強制的取得のための手段
【大澤・原田対談(法教316・55)も参照】
○新たな令状の取得(必要な令状の種類
○新たな令状によらずに実施することの許否
○強制連行の許否

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

12

捜査をめぐる諸問題(5)

公訴をめぐる諸問題(1)

 


◎科学的捜査に関する問題点の検討

●GPS捜査

●通信・会話の傍受
→主に「通信傍受法の重要問題」につき、復習用資料」にてフォローする)

※【自習】「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を
改正する法律」の刑訴法改正部分についての概要の把握
【ジュリスト1431・58~65、78~84等参照】)

◎検察官の訴追裁量権に関する問題点の検討
  〔大澤・今崎対談(法教336・72)、平成18年度重判解〔川出〕など参照〕
1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

13

公訴をめぐる諸問題(2)

公判をめぐる諸問題

証拠をめぐる諸問題(1)

◎訴因の特定・変更に関する問題点の検討
  〔長沼・池田対談(法教322・88)、大澤・植村対談
(法教324・80)、川出連載【刑事法ジャーナル
6・120】、酒巻連載(法教298、299)など参照〕

※単独(正)犯と共同正犯の間の「択一的認定」の適否
【平成5年度重判解206〔大澤〕等参照】

◎証拠の関連性に関する問題点の検討(1)

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

14 証拠をめぐる諸問題(2)



◎証拠の関連性に関する問題点の検討(2)

◎違法収集証拠に関する問題点の検討
【予習用資料(10)参照】

●【最決平15・2・14刑集57・2.121】の確認
〔大澤・杉田対談(法教328・65)、
調査官解説ほか参照〕

●【最三小決平21・9・28刑集63・7・868】の
検討
〔平成21年度重判〔笹倉解説〕、百選第9版〔井上解説〕ほか参照〕

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

15

証拠をめぐる諸問題(3)

司法制度改革をめぐる諸問題




◎自白法則(・違法収集証拠排除法則)に関する問題点の検討
【大澤・川上対談(法教312・75)など参照】

●【最二小決昭59・2・29刑集38・3・479
(高輪グリーンマンション殺人事件)】の確認(簡単に)◎
●【東京高判平14・9・4判時1808・144
(ロザール事件)】の検討
→上申書・検察官調書の証拠能力判断を中心に

◎司法制度改革をめぐる諸問題

1.指定された裁判例・文献の検討
2.基本書等の関連箇所の確認

16 期末試験

 ◎期末試験実施及び講評


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