コース要綱

:(9300017)民法基礎Ⅳ

[講義基本情報]

教員: 金子 敬明
その他の教員:                           
科目種別: 法律基本 民事系
開講時期: 春学期
対象年次: 1年(3年コ-スのみ)
開講時限: 金2
単位数: 2
必修の有無: 必修
教室:

 

講義概要 この講義は、不法行為(民法第3編第5章)、事務管理(民法第3編第3章)、不当利得(民法第3編第4章)を対象とする。相続法をはじめとして、この分野と密接に関係する民法の他領域、および、主要な特別法についても、必要に応じて取り上げる。
授業は、講義形式といわゆるソクラティック・メソッドを併用して進める。講義形式を通じて基本的知識の概要を伝えた上で、ソクラティック・メソッドを通じて、知識の定着を図ると共に、具体的な事例に対応する能力を習得する。
抽象的な議論の展開されることが多い法領域であるが、この授業では、「何が問題となっているのか」、「なぜそのようなことが問題となるのか」という点をなるべく丁寧に解説し、正確な基本知識を身につけることができるようにする。
債権法改正法案にも、本講義で扱う領域に関係する限りにおいて言及する。
なお、本講義の内容は、「法科大学院における共通的な到達目標」を踏まえたものとなっている。
到達目標 (1)民法、および、主要な特別法の定める不法行為の成立要件について正確な知識を身につける。その知識に基づいて、具体的な事例において、不法行為の成否を判断できるようにする。
(2)不法行為の効果について正確な知識を身につける。その知識に基づいて、具体的な事例において、被害者が加害者に対してどのような請求を行なえるのかを判断できるようにする。
(3)不法行為の成立が認められた場合に、誰が、損害賠償請求の主体となりうるのかを理解する。とりわけ直接の被害者が死亡した場合に、損害賠償請求権・慰謝料請求権の相続に関してどのような問題があるのかを理解する。
(4)不法行為に基づく損害賠償請求に際して、加害者が主張しうる抗弁について正確に理解する。
(5)不当利得制度の意義について、財産法の他領域との関係を中心に、正確に理解する。
(6)事務管理、および、不当利得の要件と効果を正確に理解する。
教科書 全員に強制購入させるという意味での教科書は存在しないが、「参考書・参考資料」欄の第1段落を参照。
参考書・参考資料

不法行為については、潮見佳男『基本講義 債権各論II 不法行為法(第2版増補版)』(新世社・2016年)、事務管理・不当利得については、潮見佳男『基本講義 債権各論I 契約法・事務管理・不当利得(第2版)』(新世社・2009年)の該当箇所を用いる。

その他の概説書(初学者向け)として、内田貴『民法II 債権各論(第3版)』(東京大学出版会・2011年)

判例教材として、中田裕康ほか編『民法判例百選II(第7版)』(有斐閣・2015年)

その他の教科書・体系書については、初回の授業において説明する。

成績評価方法 (1)平常点25%、(2)レポート課題15%、(3)学年末試験(論述試験)60%の総合点による。
(1)の平常点は、授業への出席、質疑応答への参加、その内容によって評価する。到達目標(1)(2)に対応して、毎回の講義において、ソクラティック・メソッドを通じて、基本知識の定着、および、具体的な事例を解決する能力の定着を確認する。無断欠席、および、2回以上の欠席は減点の対象とする。
(2)のレポートは、近時の重要判例などを素材としたものとするが、詳細については講義の中で連絡する。他人のレポートを写すなどの行為は、カンニングとみなす。到達目標(1)(2)(4)に対応して、不法行為制度に対する十分な理解が身についているかを確認する。
(3)の学年末試験では、事例問題を通じて、授業で取り上げた知識の定着度を確認する。到達目標(1)(2)(4)(5)(6)に対応して、不法行為法、不当利得法、事務管理法に関する正確な理解と、それを実際の事例に即して用いる能力が身についているかを確認する。講義を5回以上欠席した受講者には受験を認めない。
履修条件 なし
その他の注意

 

テーマ 講義内容 授業時間外の学修活動 関連ページ
1 講義概要・不法行為法序論
  • 本講義に必要な法律文献・情報の収集方法について学習する。
  • 不法行為制度の意義、機能・目的について学習する。
  • 民法709条以下を中心として、不法行為法の全体像を理解する。
  • 一般不法行為(民法709条)の成立要件がどのようなものか学習する。

共通的到達目標
○不法行為制度の機能および目的について説明することができる。

○民法709条がどのような要件を充たせば責任の成立を認めているのか、またどのような場合に責任の成立が否定されるのかについて、その全体の構造を示すことができる。

2 一般不法行為の成立要件(1)
故意・過失・権利侵害
  • 過失責任の原則の内容および意義を学習する。無過失責任立法、いわゆる中間責任としてどのようなものがあるのか学習する。
  • 不法行為における故意・過失要件の内容について学習する。それぞれの存否がどのように判断されるのか学習する。
  • 権利侵害要件、違法性要件をめぐる判例・学説の展開・変遷について学習する。

共通的到達目標

○不法行為責任における過失責任、無過失責任、中間責任の考え方を、民法上および特別法上の具体例を挙げて説明することができる。

○過失とは何かについての基本的な考え方を説明することができる。

○権利・利益侵害要件のもつ意味について、権利侵害と違法性の関係に関する判例・学説の展開を踏まえつつ、説明することができる。

3 一般不法行為の成立要件(2)
因果関係
  • 不法行為における因果関係要件の意義について学習する。
  • 相当因果関係説の内容、および、同説に対して投げかけられている批判について学習する。
  • 事実的因果関係の存否の判断方法、および、その証明困難に対応するための法技術について学習する。
  • 損害賠償の範囲の判断基準について学習する。

共通的到達目標

○因果関係についての基本的な考え方を説明することができる。

4 一般不法行為の成立要件(3)
権利侵害各論
  • 不法行為における権利侵害要件に関する近時の動向について学習する。
  • 人格的利益の侵害(名誉棄損、プライバシー権、パブリシティ権)を理由とする不法行為の成否について学習する。
  • 環境的利益の侵害を理由とする不法行為の成否について学習する。
  • 債権侵害を理由とする不法行為の成否について学習する。

共通的到達目標

○主要な事件類型(名誉・プライバシー侵害、公害・生活妨害、第三者による債権侵害)に即して、不法行為の要件・効果を説明することができる。

5 不法行為の効果
  • 不法行為における損害要件の意義・内容について学習する。
  • 人身損害を中心に損害賠償額の算定方法について学習する。
  • 不法行為を理由とする差止めが認められる根拠、および、差止めの要件・効果について学習する。

共通的到達目標

○損害とは何か、損害にはどのような種類のものがあると考えられているかについて、基本的な考え方を説明することができる。

○賠償されるべき損害の範囲および額の算定についての基本的な考え方を説明することができる。

○損害賠償の方法についての基本的な考え方を説明することができる。

○侵害行為の差止請求と不法行為に基づく損害賠償との関係について、説明することができる。

6 損害賠償請求権の主体
  • 不法行為が成立した場合に、誰が損害賠償請求をすることができるのか学習する。
  • 不法行為の被害者が死亡した場合に誰が損害賠償請求権を行使できるのか、損害賠償請求権の相続に関する問題を中心に学習する。
  • いわゆる「間接被害者」による損害賠償請求がどのような場面において認められるのか学習する。

共通的到達目標

○不法行為責任の成立が認められる場合に、損害賠償請求をすることができる者は誰かについて、説明することができる(被害者が死亡した場合、生存している場合、胎児の損害賠償請求の可否を含む)。

7 加害者(被告)の抗弁
  • 不法行為の成立を否定する事由(正当防衛、緊急避難、正当業務行為など)について学習する。
  • 過失相殺と損益相殺の意義、および、これらの制度に基づいて損害賠償額が減額される場面について学習する。
  • 不法行為に基づく損害賠償請求権がどのような期間制限に服するのか学習する。

共通的到達目標

○不法行為一般における損害賠償請求権の期間制限について、説明することができる。

8 特殊不法行為(1)
他人の行為による責任・物による責任
  • 責任能力制度の意義および制度趣旨について学習する。
  • 監督義務者等の責任が、どのような根拠に基づいて、どのような要件の下で認められるのか学習する。
  • 使用者責任が、どのような根拠に基づいて、どのような要件の下で認められるのか学習する。使用者責任の効果(被用者への求償を含む)について学習する。
  • 工作物責任・動物占有者等の責任が、どのような根拠に基づいて、どのような要件の下で認められるのか学習する。

共通的到達目標

○責任能力とはどのような概念であるかを、行為能力・意思能力と対比して説明することができる。

○責任無能力者の不法行為について、監督義務者がどのような根拠に基づいてどのような責任を負うかを、説明することができる。

○使用者責任において、使用者がなぜ被用者の行為について責任を負うのか、また、使用者責任の要件と効果(被用者への求償を含む)はどのようなものかについて、説明することができる。

○工作物責任において、工作物の占有者や所有者がなぜ責任を負うのか、また、工作物責任の要件と効果はどのようなものかについて、説明することができる。

9 特殊不法行為(2)
複数加害者の不法行為
  • 民法719条(共同不法行為者の責任)の構造を理解する。
  • 共同不法行為がどのような要件の下で成立するのか学習する。
  • 共同不法行為が成立した場合の被害者・加害者間、および、共同不法行為者間(求償関係)の法律関係について学習する。

共通的到達目標

○共同不行為責任の意義、要件および効果について、説明することができる。

10 特別法上の不法行為
  • 国家賠償法が定める公権力の行使に関する賠償責任、営造物責任の要件・効果について学習する。
  • 自動車損害賠償保障法が定める運行供用者責任の意義、要件・効果について学習する。
  • 製造物責任法の意義、同法の定める製造物責任の要件・効果について学習する。

共通的到達目標

○主要な事件類型(自動車事故、製造物による事故)に即して、不法行為の要件・効果を説明することができる。

11 不法行為法・中間総括
  • 不法行為法の総括として、事例問題の検討を行ない、これまで学習してきた不法行為法に関する諸々の知識の相互関係を理解する。
12 事務管理・不当利得法総論
  • 事務管理の意義、成立要件について学習する。事務管理が成立した場合に、事務管理者と本人の間でどのような権利義務関係が生じるのか(委任との異同を含む)学習する。
  • 不当利得法の基本構造を理解する。
  • 不当利得法の理論的基礎として主張されている衡平説、類型論の基本的内容について理解する。

共通的到達目標

○事務管理とはどのような制度であり、どのような要件が備われば事務管理の成立が認められるかを、説明することができる。

○事務管理の成立が認められる場合に、事務管理者と本人の間でどのような権利義務関係が生ずるかを、条文を参照して、委任との異同に留意しながら説明することができる。

○不当利得がどのような制度であり、具体的にどのような場合に問題となるかについて、不当利得についての考え方の対立に留意しながら、具体例を挙げて説明することができる。

13 給付利得
  • 給付利得の意義、成立要件・効果について学習する。
  • 双務契約の清算方法について学習する。
  • 非債弁済について学習する。
  • 不法原因給付の意義を学習する。どのような場合に、不法原因給付に該当することを理由に給付の返還請求が認められないのか学習する。

共通的到達目標

○不当利得債務者はどのような要件の下で、またどのような範囲で利得の返還義務を負うかを、具体例に即して説明することができる。

○不法原因に基づく給付の返還請求が認められないという原則とその例外について、民法90条との関係に留意しながら、具体例を挙げて説明することができる。

14 侵害利得・支出利得
  • 侵害利得の意義、要件・効果について学習する。
  • 支出利得の意義、要件・効果について学習する。

共通的到達目標

○不当利得債務者はどのような要件の下で、またどのような範囲で利得の返還義務を負うかを、具体例に即して説明することができる。

15 多数当事者間の不当利得

不当利得において多数の当事者が関係する場面(転用物訴権など)としてどのようなものがあるのか、それらの場面における不当利得の成否、清算方法を学習する。

共通的到達目標

○いわゆる転用物訴権とはどのような制度であり、どのような場合に認められるかについて、考え方の対立と基本的な問題点を理解している。

16 期末試験・講評

 

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https://canvas.law.nagoya-u.ac.jp/enroll/XXNTCP

 

Assignments Summary:

日付 詳細