コース要綱

国際法研究Ⅲ(国際法判例研究)International Law (International Law Cases)

[講義基本情報]

教員: 小畑 郁 OBATA Kaoru
その他の教員:
科目種別: 演習
開講時期: 秋学期
対象年次: M1 & M2
開講時限: 火4限
単位数: 2
必修の有無:
教室:

 

講義概要

この講義では、国際法の判例をとりあげて、議論を通じて、理解を深めることを目的にしている。ここでは、「判例」という用語は、事件あるいは問題に対する第3者機関の判断、という広い意味で用いている。国際法の判例は、国内法のそれよりは集積の密度が小さいので、判例の意義について早急に結論を出すよりも、一つ一つの判例の背景と論理展開を一度は正確に理解することが重要である。

In this seminar, we discuss outstanding international law cases, and deepen our understanding on their possible siginificance in international law. "Cases" are meant in this seminar as the third party's evaluations and/or decisions on facts or issues. International law cases covers only roughly the vast areas of the law, compared with national law cases. It is the reason why we put emphasis on background and logics in each case, rather than hastening to reach definitive conclusions on its significance.  

到達目標 ①判例の理解を通じて、現代国際法の生きた姿を認識する。
②国際裁判あるいは条約実施手続の実際を、具体的な形で理解する。
③国際法の「適用」がどのような主体によって担われているかを理解し、日本の法律実務家の果たすべき役割について考える。
教科書 教材は、日本語のできるだけ原文に近いものを用意するが、総合法政専攻の学生については、英語のテキストも読んでくることが望ましい。
前提として、『国際法』(有斐閣Sシリーズ、第5版)、『ベーシック条約集』(東信堂、2019年版が望ましいが過年度版でも可)の関連部分を調べておくことが必要である。
参考書・参考資料 薬師寺公夫ほか編『判例国際法[第3版]』(東信堂)
杉原高嶺・酒井啓亘編『国際法基本判例50[第2版]』(三省堂)
小寺彰ほか編『国際法判例百選[第2版]』(有斐閣)
その他適宜指示する。
成績評価方法 毎回の授業での受け答えで評価する。
履修条件 国際法の基礎知識を有していること。
授業時間外学習の指示 毎回の資料について、分析を加えておき、質問をまとめておくこと。発表者になったときは、要約のレジュメを作成すること。
質問への対応方法 授業時間の直後に質問を受け付ける。時間がかかる場合には、電子メールでアポイントメントをとってもらえれば、その時間に対応する。
その他の注意 法科大学院と同様に(あるいはそれ以上に)インタラクティヴに行うので、そのつもりで準備してくること。

 

テーマ 講義内容 授業時間外の学修活動 関連ページ
1 [9月26日]
北海大陸棚事件
北海大陸棚事件判決を基礎的な素材として、次のことを理解する。
(1)事件が国際司法裁判所に提起された経緯
(2)請求(両当事者の最終申立)の内容と事件の争点
(3)判決理由の論理構造
(4)事件の国際法上の意義
北海大陸棚事件判決のテキストを読み、一通りの理解をしておく。事件の意義について、教科書等の記述を確認しておく。
2 [10月3日]
ゼーリング(Soering)事件
ゼーリング事件判決を素材として、次のことを理解する。
(1)ヨーロッパ人権裁判所の管轄の特徴
(2)当事者の主張と事件の争点
(3)判決理由の論理構造
(4)判決の意義
なお、判決の法的背景についても考える。
ゼーリング事件判決のテキストを読み、一通りの理解をしておく。同判決の意義について、教科書等の記述を確認しておく。
3 [10月17日]
ブレークス(Broeks)事件
ブレークス事件見解を基礎的な素材として、次のことを理解する。
(1)自由権規約と他の人権条約の内容的特徴
(2)当事者の主張と事件の争点
(3)見解理由の論理構造
(4)見解の意義

『法科大学院ケースブック国際人権法』61頁の[発展問題1]問題1をやっておく。
ブレークス事件見解のテキスト(抜粋)を読み、一通りの理解をしておく。同見解の意義について、日本の判例と対照しながら考えておく。
4 [10月24日]ウィナータ事件 ウィナータ事件見解を基礎的な素材として、次のことを理解する
(1)自由権規約個人通報手続
(2)当事者の主張と事件の争点
(3)見解理由の論理構造
なお、見解の日本の国内裁判に対する意義も考える
配付資料を読み、自由権規約個人通報手続について一通り理解しておく。
ウィナータ事件見解のテキスト(抜粋)を読み、一通りの理解をしておく。同見解の意義について、日本の判例と対照しながら考えておく。
5 [10月31日]
ジェノサイド条約に対する留保
ジェノサイド事件意見を基礎的な素材として、次のことを確認し理解する
(1)勧告的意見手続の性格と本意見の背景
(2)主な主張と争点
(3)意見理由の論理構造
なお、条約法条約の解釈論を踏まえて、意見の意義を考える
勧告的意見手続について復習しておく。
配付資料を読み、意見の構造を理解しておく。
6 [11月7日]アイスランド漁業管轄権事件(本案) アイスランド漁業管轄権事件判決(本案)を主な素材として、次のことを確認し理解する。
(1)戦後海洋法史における沿岸国の漁業管轄拡大の経緯と本事件の位置づけ
(2)当事者の態度・主張(請求)
(3)欠席の取り扱い
(4)判決理由の論理構造
なお、本判決における「対抗力」概念の位置づけと、一般化可能性について考える。
戦後海洋法史を復習し、本事件の経過と照らし合わせておく。
配付資料を読み、判決理由の構造を理解しておく。
7 [11月14日]ガブチコボ・ナジマロシュ計画事件 ガブチコボ・ナジュマロシュ計画事件判決を主な素材として、次のことを確認し理解する。
(1)事件の事実関係
(2)論点ごとの当事者の主張のポイントと判決理由の論理
なお、その後の経緯をふまえて、条約法(および国家責任法)についての主流理論の問題点も考える。
資料を読み、法的論点を整理しておく。このような紛争はどのように解決されるべきか、法的評価とは離れて合理的な解決方法について考えておく。
8 [11月21日]
テヘラン人質事件
テヘラン人質事件判決を主な素材として、次のことを確認し、理解する。
(1)事件の事実関係
(2)イランの裁判可能性否定論の内容とそれについての裁判所の態度
(3)国家責任の認定における事実過程の二段階把握とその意義
(4)米国の人質救出作戦の法的評価

資料を読み、左の(2)~(4)について整理しておく。
9 [11月28日]
バルセロナトラクション事件(第2段階)
バルセロナ・トラクション事件(第2段階)判決を主な素材として次のことを確認し、理解する。
(1)事件の事実関係
(2)「対世的義務」についての判示の位置づけと意味
(3)裁判所による株式会社制度の理解
(4)法人格否認の法理の適用
(5)裁判所による法人の国籍の決定基準
 なお、近年の判例、外交的保護条文に照らして判決の今日的意義をも考える。
10 [12月5日]インターハンデル事件 インターハンデル事件判決を素材として、次のことを確認し、理解する。
(1)事件の事実関係
(2)アメリカの先決的抗弁の概括的整理
(3)選択条項受諾宣言における相互主義
(4)国内救済原則とその適用の限界
なお、裁判所による先決的抗弁の判断の順序についても考える。
11 [12月12日]ジェノサイド条約適用事件(先決的抗弁を中心に)
12 [12月19日]国連のある種の経費
13 [1月16日]ニカラグア事件(本案)
14 [1月23日]エビ・カメ事件
15 まとめ

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https://canvas.law.nagoya-u.ac.jp/enroll/X33AKW

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