コース要綱

政治学原論 Foundations of Political Science

[講義基本情報]

教員: 田村哲樹  TAMURA, Tetsuki
その他の教員: -
科目種別: 講義
開講時期: Ⅲ期
対象年次: 2年
開講時限: 木3 木4
単位数: 4
必修の有無:
教室: 遠隔授業で行います(履修者はcanvasに登録してください)

 

講義概要

 政治学は、法学と並んで「社会のルールの学」の一つです。「法」を考える時に「法学的な」考え方とそうではない考え方があるように、「政治」を考える時にも、「政治学的な」考え方とそうではない考え方とがあります。言い換えれば、単に「政治」についての知識を持てば、それで「政治学的」に考えることができるというわけではありません。

 そこで、この講義では、政治についての「政治学的な」考え方を身につけるために、政治学における「政治」の扱い方を説明します。特に、次の二つのポイントを重視します。

(1) 第一に、「政治」は国家・政府レベルだけのものではないということです。たとえば、みなさんは漠然と、「政治とは選挙・投票のことだ」と思っているかもしれません。しかし、「政治=選挙・投票」が当然かどうかは、「政治」をどのように理解するかに左右されます。「政治」の理解の仕方次第では、「政治=選挙・投票」は必ずしも自明ではありません。

(2) 第二に、「政治学的な」考え方には複数のタイプがあることです。具体的には、政治学的な考え方を、1) 「記述的」な考え方、2) 「説明的」な考え方、3)「規範的」な考え方の三つに整理し、特定のテーマ(民主主義、福祉、ジェンダー、経済、文化)について、政治学が記述的/説明的/規範的にどのように考えようとするのかを説明します。

 具体的には、以下の項目に沿って講義する予定です。ただし、講義の進捗状況や受講者の学修状況に応じて、適宜変更する場合があります。

1.イントロダクション

 (1)「政治とは何か」を考える

2. 政治とは何か?:①集合的決定としての政治

3. 政治とは何か?:②紛争・権力・偶然性

4. 政治とは何か?:②政治はどこにどのようにあるのか?

5. 政治は何ではないのか?:①政治と法

6. 政治は何ではないのか?:②政治と経済

7. 政治は何ではないのか?:③政治と社会

 (2)政治を場から考える

8. 国家:①権力の場としての国家

9. 国家:②支配・統治の場としての国家

10. 国家:③独自の役割(機能)を果たす国家

11. 政治体制:①(自由)民主主義体制と非民主主義体制

12. 政治体制:②(自由)民主主義政治体制の諸要素

13. 市民社会と公共圏

14. 親密圏と家族

 (3)政治をアクターから考える

15.政党・政治家:①代表としての政治家

16.政党・政治家:②政党形成の論理

17.政党・政治家:③政党の機能

18.政党・政治家:④政党の発展と変容

19.社会集団:①利益団体

20.社会集団:②社会運動

 (4)政治学における記述・説明・規範:①民主主義

21.民主主義の記述

22.民主主義の説明

23.民主主義の規範①:自由民主主義と参加民主主義

24.民主主義の規範②:熟議民主主義と闘技民主主義

 (5)政治学における記述・説明・規範:②福祉

25.福祉の記述

26.福祉の説明

27.福祉の規範

 (6)政治学における記述・説明・規範:③ジェンダー

28.ジェンダーの記述

29.ジェンダーの説明

30.ジェンダーの規範

 

    This course examines foundations of political science. It offers an opportunity for students to understand uniquely 'political' perspectives on politics especially.

    As a whole, this course emphasizes two points. The first is that politics can exist almost everywhere including not only at the state/government level, but also at societies and the private spheres. The second is that there are varieties of 'political scientific' perspective; descriptive, explanative, and normative.  

到達目標

 講義終了時に、以下のことができるようになっていることを目標とします。

・社会のルールの学としての政治学に関する、専門的知識を身につける。

・政治学的な「政治の見方」とはどのようなものかを理解する。

・政治学の概念と理論の学修を通じて、ものごとを総合的に判断する能力および的確に価値判断・意思決定する能力を涵養する。

教科書

教科書として、田村哲樹・近藤康史・堀江孝司『政治学〔アカデミックナビ〕』(勁草書房、2020年)を使用します。ただし、扱うのは主に前半です。これ以外に、講義中に適宜レジュメを配布します。

 なお、名大生協では、宅配による教科書販売を行っています。下記を参照してください。

http://nucoop.jp/news_2/news_detail_2499.html

 

参考書・参考資料

 本講義で説明する「政治」の理解については、上記『政治学』以外に、田村哲樹・松元雅和・乙部延剛・山崎望『ここから始める政治理論』(有斐閣ストゥディア、2017年)の、第2章「政治とは何か?」も参考になります。同書第1章「政治理論の始め方」も、本講義の考える「政治学」のイメージを理解するための参考になります。

 また、この講義では、政治学を勉強するとは、突き詰めるならば「政治とは何か?」を考えることであると想定しています。そこで、このような問題を自分で考えてみたい人には、以下の本をお勧めします。

・杉田敦『政治的思考』岩波新書、2013年。

・ジェリー・ストーカー(山口二郎訳)『政治をあきらめない理由』岩波書店、2013年。

 その他の参考文献は、講義中に適宜紹介します。

成績評価方法

・基本的に、学期末テストによって評価します。90点以上をS、80点以上をA、70~79点をB、60~69点をC、59点以下をFとします。
・数回提出してもらう予定のレスポンス・ペーパーの内容や提出状況等を、補助的に考慮に入れます。詳しくは、初回講義において説明します。

履修条件 特に必要とされる履修条件は、ありません。
授業時間外学習の指示 講義前には、毎回の講義の教科書の該当箇所を予習し、講義後には、レジュメも併せて内容を復習することが期待されます。
質問への対応方法 講義中および講義終了後に受け付けます。
その他の注意

【※4月12日追加:新型コロナウィルス対策のため、本年度の講義は、このcanvasを利用したオンライン形式で行います。受講者は、canvasに登録し、そこで提供される情報をご覧ください。】

 受講生のみなさんの中には、「『法学』部に入ったのに、なぜ『政治』学を勉強しなければならないのか?」という疑問を持っている人もいるかもしれません。しかし、そのような疑問を持つ人が考えている以上には、法と政治には共通性も関係性もあります(もちろん違いもあります)。ともあれ、「政治(学)には興味がない」と思っている人には、「自分はなぜそう思うのか?」を問いながら、本講義を受講していただければと思います。そのように問うことも、結果的には「政治(学)」についての理解を深めることにつながるはずです。

※本コースにメンバー登録を希望する学生は下記URLにアクセスしてください。名大IDとパスワードで認証し、「コースへの登録」ボタンをクリックします。

https://canvas.law.nagoya-u.ac.jp/enroll/WRBNYL

 

コースサマリー:

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