コース要綱

:(9300094)国際法Ⅱ

[講義基本情報]

教員: 小畑 郁
その他の教員:
科目種別: 展開先端
開講時期: 秋学期
対象年次: 2年(2年コ-ス1年)
開講時限: 火2
単位数: 2
必修の有無: 選択
教室:

 

講義概要 (1)法科大学院「国際法Ⅰ」(または学部「国際法総論」)での学修成果を踏まえ,私人の地位にかかわる国際法の諸分野についての基礎的知識を修得し,その機能について考える。
(2)とりわけ(1)との関わりで、国際法の基礎理論について議論を提供し、問題意識を涵養する。
(3)「国際法Ⅰ」と合わせて、新司法試験選択科目「国際関係法・公法系」に必要な基礎的知識を提供する。
(4)(1)(2)との関係で、とりわけ日本の政府および裁判所による国際法の解釈・適用について,具体的事例に則して,その理論と実際の状況について考える。
到達目標 (1)私人の地位をめぐる国際法制度の全体像について、総合的な知識をもつ。
(2)日本の裁判所における国際法適用をめぐる問題について、基礎的知識を修得し、総合的な視野を身につける。
(3)国際法の基礎理論にかかわる基礎的知識を修得し、現代国際・国内社会の構造認識について問題意識をもつ。
(4)とりわけ(1)および(2)との関係で、日本の法曹が関わりうる国際的・国内的フォーラムにおいて、どのような国際法が形成され、どのように解釈・適用されているかを知り、日本の法曹が果たすべき役割についての問題意識をもつ。
教科書

松井芳郎ほか『国際法[第5版]』(有斐閣Sシリーズ、2007年)

『ベーシック条約集2020年版』(東信堂):必携

参考書・参考資料

薬師寺公夫ほか『法科大学院ケースブック国際人権法』(日本評論社、2007年)
家正治ほか編『国際機構(第4版)』(世界思想社、2009年)

薬師寺公夫ほか編『判例国際法(第3版)』(東信堂、2019年)
杉原高嶺・酒井啓亘編『国際法基本判例50(第2版)』(三省堂、2014年)
その他随時指示する。

成績評価方法 (1)最終レポート70%
(2)口頭による発問に対する受け答え・討論への参加30%
履修条件 法科大学院「国際法Ⅰ」または学部「国際法総論」(ないしそれに相当する科目)を履修していること。ただし双方を履修していることが望ましい。
授業時間外学習の指示 シラバスの授業計画欄でその都度指示する。一般的には、国際法の入門的教科書程度の基礎知識を確認すること。基本判例の事実関係と判旨を理解しておくこと
質問への対応方法 授業時間後に対応するほか、メールでアポイントメントをとることにより、面談により対応する。
その他の注意 「外国人と法」(3年前期配当)の前提となる知識が提供されるので、「外国人と法」を履修しようと考える者は、履修を検討すること。

※本コースにメンバー登録を希望する学生は下記URLにアクセスしてください。名大IDとパスワードで認証し、「コースへの登録」ボタンをクリックします。

https://canvas.law.nagoya-u.ac.jp/enroll/WTGTKC

講義計画

テーマ 講義内容 授業時間外の学修活動 関連ページ
1 10月6日
領域内私人の地位(1)

近代世界は、外国人をどのように取り扱ってきたのか。国際法上の外国人の地位の相互矛盾的状況とその背景を理解する。
外国人の入国・在留・ミニマムな「権利」について国際法の考え方を理解する

 

 

原稿の該当部分を読み、国際法上の外国人の地位について一通りの理解をしておく
2 10月13日
領域内私人の地位(2)

領域国による外国人保護義務について理解し、それにかかわってどのような国際違法行為の類型があるか、および、それぞれの成立要件について理解する。

 

3 10月20日
外交的保護(1)


外交的保護の性格、外交的保護に対する批判および近年の動向について基礎的知識を修得する。請求の国籍をめぐる基本的動向について、議論できるようになる。

 

国連国際法委員会の「外交的保護条文」を一通り読み、とりわけ国籍法抵触条約と比較しておく。
4 10月27日
外交的保護(2)

一般に外交的保護行使のための手続的要件とされている、国籍継続の原則および国内的救済原則について、意義と適用の限界について基礎的知識を修得する。それを通じて、それらの存在理由について考える。カルボ条項をめぐる議論を通じて、外交的保護をめぐる国家と個人の利益の絡み合いを理解する。

 

インターハンデル事件について調べておく。
5

11月3日(祝、授業実施日)

刑事国際協力(1)

犯罪人引渡の仕組みについて理解する。いわゆる国際犯罪には、性格の異なるものが含まれていること、にもかかわらず現代における混乱が著しいことを理解する。

 

教科書の関連部分を読み、逃亡犯罪人引渡法、日米および日韓犯罪人引渡条約について調べておく。
6

11月10日

刑事国際協力(2)

引き続き、犯罪人引渡にかかわる原則、とりわけ政治犯不引渡原則について理解する。国際刑事裁判所について理解する。

 

張振海事件、ジェノサイド条約、ハイジャック防止条約および国連組織犯罪防止条約について調べておく。
7

11月17日

国際責任の解除と実施

国家責任の解除についての基本原則を理解する。国家責任の実施をめぐる問題、とりわけ対抗措置に関する対抗軸の所在を理解する。

 

国際法委員会の国家責任条文の関連規定を読んでおく。
8

11月24日

多数国間条約の国際的実施

WTO、温暖化に関するパリ協定を例に、多数国間条約の実施において、法律専門家の役割が大きくなっていることとともに、その限界も理解する。

 

各条約の実施(紛争解決)規定について、一通り調べておく。

 

9

12月1日

 国際人権条約の国際的実施手続(1)

ヨーロッパ人権条約の人権裁判所を中心とする特殊な実施制度について理解する。国際人権規約(自由権規約)政府報告書審査手続について、その発展過程に即して手続の流れを理解する。報告書審査手続の法的性格について理解する。

 

日本政府報告書に対する総括所見およびそれに対する日本政府コメントを読んておく。。
10

12月8日

国際人権条約の国際的実施手続(2)
 

自由権規約における個人通報審査手続について,とくに主な受理要件および見解の意義を理解する。フォローアップ手続とその意義について理解する。

 

受理要件に関する決定例(Kulomin case)を調べておく
11

12月15日

国際法の成立形式
 

国際法の伝統的法源,とくに慣習法の成立要件に関する議論を踏まえ,伝統的議論の制約について理解する。

 

北海大陸棚事件について調べておく。
12

12月22日

国際法の確認・変動過程
 

国際法の定式化には,国際法の法典化(漸進的発達)と政治的機関による国際法の発展の二系列があることをそれぞれの具体的手続とともに理解する。

 

宇宙法の形成過程について調べておく。
13

1月12日

国際法と国内法
 


国際法と国内法の関係をめぐる諸理論、および日本の国内法秩序における国際法について基礎的知識を得る。

 

政令201号事件について調べておく。阿部浩己「ふたつの『神話』を超えて」を読んでおく。

14

1月15日(金、火曜授業日)

人権条約の実施義務と国内適用
 

国際人権規約について両規約の実施義務を比較しながら,その内容について理解し、日本の国内法過程でそれがどのような意味を持ちうるか、考える。日本における人権条約の国内適用問題について、実際の類型に即した一応の理解をする。

 

資料を読み、またレジュメに挙げたさまざまな判例の概要を頭に入れておく

15

1月19日

国際法の主体

国際法の主体(権利の主体、義務の名宛人)を論ずることにはどういう意味があるか。国際機構は現代国際法において、どのような主体であるか。私人の主体性は国家の主体性とどのように異なるか。私人の主体性は、どのように判定されるべきか。そのような議論はどのような意味をもつか、を考える。

※第15回講義レジュメ

教科書の関連部分に沿って講義するので、関連部分(レジュメに明示)を精読しておく。西松建設事件最高裁判決を読んでおく。
16 最終レポートおよびそのフォローアップ

積み残された論点および/または最終レポートについて、必要に応じ個別面談または集団討論を行う。 

 

コースサマリー:

日付 詳細