コース要綱

憲法基礎Ⅱ Basic Constitutional Law II

[講義基本情報]

第2講義室

教員: 斎藤  一久  Saito  Kazuhisa 
Daその他の教員:  
科目種別: 法律基本 公法系
開講時期: 秋学期   Autumn
対象年次: 1年(3年コースのみ)
開講時限: 木1  Thu.1
単位数: 2
必修の有無: 必修  Compulsory
教室: 第2講義室

 

講義概要

「近代的意味の憲法=立憲的意味の憲法」の意義を理解した上で、憲法の核心である「基本的人権」領域の法知識を涵養し,これをもとに批判的に検討・発展させていく創造的な思考力を養い,事実に即した具体的な問題解決に必要な法的な分析・議論能力の育成をはかる。近代憲法の目的は基本的人権の保障をはかることにあるが,その実定憲法上の保障の解釈は,実定憲法の歴史性の故に不断に更新を求められる。したがって鋭い人権感覚と柔軟な解釈論の技法の涵養が不可欠である。授業は,人権の裁判的保障に関する基本事項を確認した上で,平等,精神的自由権,経済的社会的人権,人身の自由と適正手続保障の順に展開し、その後で,人権の享有主体等の人権総論に関わる問題を取り上げる。内容は既存の学説,法令及び判例を理解するというよりも,法曹に求められる資質としての問題発見的あるいは問題提起的姿勢を育むものとする。
 なお、この講義は、「法科大学院における共通的な到達目標」を踏まえて、具体的な授業内容を設定している。

The aim of this course is to help students  acquire an understanding of the constitutionalism and legal knowledge in the area of human rights. It also enhances the development of students' skill creative in thinking, analyzing, and discussing legal issues necessary for solving concrete problems in accordance with the facts. The purpose of the modern constitution is to guarantee the fundamental human rights, and the interpretation of the guarantee in the positive constitution is constantly required to be renewed because of the history of the positive constitution. Therefore, it is essential to cultivate a keen sense of human rights and techniques for flexible interpretation. After confirming basic matters concerning the judicial guarantee of human rights, classes will be conducted in the following order: equality, mental and social rights, economic and social rights, freedom of the human body and guarantee of due process, followed by issues related to general human rights issues such as those who enjoy human rights. The content should foster a problem-finding or problem-raising attitude as a quality required of the legal profession, rather than an understanding of existing theories, laws and precedents.
The content of this lecture is set based on the "Common goals of law schools".

到達目標 (1)基本的人権の基本原理を理解できる。
(2)違憲審査制度との関係で人権保障に特有な法的論点を理解できる。
(3)憲法の基本判例を正確に理解し,判例法理を批判的かつ発展的に考察することができる。
(4)具体的な紛争の法解釈を通じて,近代立憲主義の基本的考え方を理解する。
教科書

芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法(第7版)』岩波書店

参考書・参考資料

長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選Ⅰ(第7版)』有斐閣・2019年
長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選Ⅱ(第7版)』有斐閣・2019年

以上の2冊が手元にあると、授業の理解が進むものと考える。講義の際もたびたび言及する。

なお、芦部『憲法』と対照しながら読むと、憲法の学習が進むと思われる教科書として、以下の2点を推奨する。
長谷部恭男『憲法 第7版』新世社
高橋和之『立憲主義と日本国憲法(第4版)』有斐閣

成績評価方法 レポート(1回)10点・小テスト(2回・各10点)20点・学期末試験60点・平常点(出席と発言)10点とする。合格点は、大学の定める基準による。
到達目標(1)について:小テスト・平常点
到達目標(2)について:レポート・平常点・学期末試験
到達目標(3)について:学期末試験
到達目標(4)について:レポート・学期末試験
履修条件 (1)履修条件は特にない。
(2)人権保障の問題を理解するためには、政治・社会の現実に関心をもつことが不可欠である。新聞等を読む癖をつけてほしい。
授業時間外学習の指示 ページの「講義計画と記録」の欄に授業時間外の学習についての指示があるので、それを参照。
質問への対応方法 授業時間外の質問への対応方法(オフィスアワー等)については、学生便覧を参照。
その他の注意

ページの「講義計画と記録」の欄に、小テストやレポートの日程も予め掲載しておいたので、確認しておくこと(変更する場合は講義の際に連絡する)。

This course will be taught in English.

 

1 裁判による人権保障 1.「人権」の意味と歴史を的確に理解できる。
2. 人権の類型化の意義とその相対性を理解できる。
3. 違憲審査制との関係で人権保障の問題を考えることができる。
2 人権の限界 1. 具体的事案に基づいて人権保障の限界を考えることができる。
2. 判例の「公共の福祉」論を批判的に検討できる。
3. 「制度的保障」という考え方を理解し、批判的に検討できる。
3 法の下の平等 1.形式的平等と実質的平等の差異など,基本的事項を理解できる。
2.「合理的な区別」の意義を具体的問題との関係で理解できる。
3.審査基準の論点を踏まえて,憲法14条の解釈ができる。
4 思想良心の自由と信教の自由 1.思想良心の自由の内容・意義を理解し、具体的な事案との関係で考察できる。
2.信教の自由と政教分離の内容・意義および両者の関係を理解できる。
3.政教分離に関する判例法理を批判的に考察できる。
5 表現の自由(1)
 
1.表現の自由の優越的地位を理解し,自ら説明できる。
2.事前規制と事後規制,内容規制と内容中立規制の違いを理解できる。
3.表現の自由の保障の限界に関わる法的問題の基本を理解できる。
6 表現の自由(2) 1.検閲の禁止に関する判例・学説を理解できる。
2.人格権保障のための差止めの可否を憲法学的に議論できる。 
7 報道の自由と学問の自由 1.知る権利の意義と情報公開制度の関係を理解できる。
2.報道の自由と取材の自由の意義,および両者の関係を理解できる。
3. 学問の自由の基本事項を理解できる。
8 経済的自由 1.憲法史を踏まえて,財産権保障の相対化の意味を理解する。
2.営業の自由に関する規制目的二分論を理解できる。
3.憲法29条の解釈にかかわる基本論点と基本判例を理解できる。
9 生存権と教育を受ける権利 1.社会権保障の意義を憲法史を踏まえて理解できる。
2.社会権と自由権の関係を理解できる。
3.生存権の保障に関する判例法理を理解し,学説を整理できる。
4.教育を受ける権利に関する基本事項と判例法理を理解できる。
10 労働基本権・公務員の人権

1.労働基本権の意義と内容を具体的に理解できる。
2.公務員の労働基本権に関する判例法理を理解し、批判的に検討できる。
3. 公務員の政治活動の自由に関する判例の考え方を理解できる。
11 人身の自由と適正手続保障 1.人権保障における手続的保障の意義を理解できる。
2.人身の自由・刑事手続上の人権に関する基本事項を理解し、具体的な事案・判例との関係で、条文解釈を行うことができる。
12 人権の享有主体 1.人権の享有主体性という問題の所在を理解できる。
2.外国人の人権に関する判例・学説を理解できる。
3.法人の人権に関する判例法理を理解し,その問題点を指摘できる。
4. 団体と構成員の間での人権問題について、その基本事項を理解できる。
13

新しい人権

1.幸福追求権に関する基本事項を理解できる。
2.「新しい人権」の保障に関する判例・学説を理解できる。
14 私人間における人権保障 1.憲法の私人間効力に関する学説状況を理解できる。
2.三菱樹脂事件最高裁判決を正確に理解し、批判的に検討できる。
15 裁判における人権論の課題 講義で学んだ人権分野の基礎知識を具体的な事案の解決に生かす方法について、自分なりに検討できる。
16 まとめ

 最終テストを行う。


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https://canvas.law.nagoya-u.ac.jp/enroll/9T9HFL

コースサマリー:

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